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顧問:保田茂


2025年度・年度始めのご挨拶

                              

現在、わが国が直面している大きな問題は2030年問題、さらに2040年問題である。今から15年後の2040年、わが国は人口減少、少子化、高齢化(率34.8%)が大幅に進行し、様々な社会的、経済的な諸問題が深刻化する。1948年(昭和23年)生まれの団塊世代は15年後、92歳になる。この世代は約200万人、この団塊世代をささえる中心的世代は、現在15歳の中学生、人数は約100万人。つまり、一人の働き盛りの若年者は二人の高齢世代を背負う計算になる。30歳になった若者が当たり前のように結婚し、少なくとも二人の子どもを育ててくれれば、人口減は避けられるが、物価は円安もあって、容赦なく高騰し、若干の賃金アップがあっても、それ以上に高齢者を支えるための社会的費用が増せば、結婚すら難しくなるかも知れない。すでに、結婚しない生涯未婚の若者が1995年以降急増し、2020年の生涯未婚の男性は28.3%。女性は17.8%にまで急増している。この傾向が続けば、人口減は急速に進むし、わが国の経済活動も大きく低下してしまう。

こうした2040年問題を目前にして、最も大事な課題は人口の多数を占める高齢者が若年者に負担をかけない暮らしの実現である。そのためには如何に健康に暮らすことが出来るかが問われている。二つは、元気に暮らしつつ、若年者に少しでも負担を軽くできるよう、農村に出かけ、農地に触れ、キャベツの一個でも孫に届けることが出来るような、社会的価値を生みだす生き方が期待されている。

神戸シルバー大学院では、こうした社会的な問題を勉強しつつ、健康に暮らす生き方を学び、

一生、社会的価値を生み出す暮らしの実現についても、学びを続けている。まさに、時代にあった学び舎でもある。

設立以来、長く学長を仰せつかってきたが、20244月から学長には副学長の池本広希氏(兵庫大学名誉教授)に、副学長には神戸大学准教授の山下陽子氏に就任して頂き、新しい布陣で運営されることになった。衣を一新してさらに世を照らす高齢者大学であり続けていってほしいと願っている。

                      神戸シルバー大学院顧問 保田 茂