学長:挨拶
神戸シルバー大学院(Silver Graduate School、略称SGS)が誕生して20年がたちました。神戸市立シルバーカレッジを卒業された有志の方々が、さらに学びを続けるために設立されましたので、「さらに学んで次世代のために」を建学の精神とし、神戸シルバー大学院という名称が使われることになりました。学外からも大学院の名にふさわしい特別講義を承わり、「学習は長生きの秘訣」をモットーに「生涯学習し続ける場」を提供できるシルバー大学院です。
小さな、しかも学舎も職員も持たず、授業の時間割作成から研修旅行の企画、そして研究成果発表の場の設営まであらゆる運営に関わるいっさいを学生の手によって運営されています。その運営自体も学びと健康につながる全国でも稀有な学びの舎です。いわば構造物を持たない「エコカレッジ」です。
ところで、2022年世界人口は80億人に達しました。一方でその年、わが国の新生児は80万人を割りました。少子化の進行が止まらず、国の存立そのものが脅かされつつあります。同時に忍びよる世界的食料危機は、食料自給率の極度に低い日本が一番危ないと言われています。
今を生きる神戸シルバー大学院の現役世代は、現代社会の抱える諸問題の中から暮らしに直結する「食と農と環境」や「伝統文化や異文化研究」等に関わる身近な問題を取り上げ、個人ないしグループで研究活動を続けています。その研究は、日々の授業を踏まえフィールド調査、図書館・郷土資料館での文献資料研究、インターネットでの資料・データ検索等で研鑽を重ね、その成果発表に向けて努力しています。
シルバー大学院卒業生から「じっくり」「ゆっくり」「つづける」という学びの姿勢と「次世代の健康・生命を守るためには、人任せ・国任せにしないで自分自身で行動を起こさなければならない」との力強い心構えをいただきました。
神戸シルバー大学院は、持続可能なシルバー大学院として、そして高齢者ながらなによりも自分の健康のためにも「さらに学んで次世代のために」の建学の精神を受け継ぎ、「現役世代」と「次世代」と「世間」の「三方よし」の社会の実現に向けて、ともに歩んでくださいますことを願っています。
神戸シルバー大学院学長 池本廣希
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